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2007/10/26

今は亡き、愛し君へ贈る詩~Ⅳ~

家についてからは、

脱脂綿を使って、猫の目や口元、手足の汚れを丁寧に拭った。
 
掴んだ猫の手は、力なく、ただその重さだけを感じた。
 
スポイトを使って、口の中に水を入れた。
もう、横たわったままだった。
毛が多い猫だったから、一瞬痩せてるように見えなくとも
お腹は、横たわると骨がわかるほどへこんでいた。
 
点滴だけでしか栄養を摂取できない。
使われることのなくなった口は、カラカラに渇ききっていた。
だから脱脂綿やスポイトを使って口を濡らす。
もう、口からモノを食べることはない。
 
スポイトで水をあげると、時々水を飲み込んだ。
しかし、一回飲み込むだけでも精一杯という感じだった。
飲み込む姿も、痛々しかった。
体温調節もうまく出来ないから毛布にくるむ。
 
 
 
だんだん我慢できなくなった。
その場を親に任せ、自分の部屋に行く。
 
もう猫がこの部屋に入れろとせがむことはないだろう。
一緒に眠ることもないのだろう。
病院で見た瞬間から、全てを悟ってしまった自分がいた。
 
 
こいつの前で、泣いちゃいけない。
そう思って必死に堪えてた涙が、部屋に入った瞬間溢れ出た。
14年分の思いがつまってた。
 
この涙の本当の意味は、
自分でもよく分からなかった。
 
けれど、その時は泣けるだけ泣いた。
 
 
 
自分の気持ちが落ち着いたところで
顔を洗って、やっと猫に笑顔がみせられるようになった。
 
 
 
猫は、横たわったまま動けない。
 
そう思っていたが、急に体を起こし数歩だけ歩くこともあった。
でも、手には包帯、腰は立っていないから、すぐに下半身から崩れおち、数歩歩いたその場ですぐに倒れ込む。そしてその場から動けなくなる。
 
倒れたそのままにしておくと、熱が奪われる。
体温調節が出来ないから、倒れたらすぐに元の場所に連れて戻り、毛布をかける。
 
目が離せなかった。
 
歩こうとするのを止めようとすると、こっちの制止を振り切り、どこからそんな力が出るのか分からないくらい力強く前に進もうとした。
でも、すぐに腰から倒れ込む。
 
 
この時、この猫が
何を求め立ち上がっていたのか
それは今でもわからない。
 
でも、少しだけでもまだ動ける力がある。
元通りに治る可能性は大きいんじゃないかと本気で思った。
 
 
 
しかし、猫が立ったとき、その大半、猫は吐いた。
点滴しかしていないから、出すものがない。
 
結局吐くのは、
独特の嫌なニオイのする、
茶黒い液体だった。
 
大量に吐いた。何度も、何度も。
体の水分がなくなるのではないかと思った。
正直、怖かった。
 
だから夜中であっても、
猫を放ってはおくことは出来なかった。

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